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進路の考え方

将来やりたいことがない高校生のための、進路の考え方

周りは志望校を決め始めているのに、自分にはやりたいことがない。この焦りを抱えている高校生は、実はとても多いです。先に伝えたいのは、やりたいことが見つからないのは、あなたの考えが足りないからではない、ということです。この記事では、夢を探すのではなく、進路を逆算して組み立てるための具体的な手順を紹介します。

この記事の要点
  • やりたいことが決まっていないのは、考えが足りないからではなく、まだ選択肢に出会っていないだけ
  • 職業名で考えるのをやめて、将来どんな毎日を過ごしたいか(ありたい状態)から逆算する
  • 手順は3つ。今の自分の棚卸し → 理想の1日を描く → 今と理想をつなぐ橋を架ける

やりたいことがないのは、異常なことではない

進路の話になると、まるで全員が将来の夢を持っているのが当たり前かのような空気があります。でも冷静に考えてみてください。高校生が知っている職業の数は、世の中に存在する仕事のほんの一部です。まだ出会っていない選択肢の中に自分に合うものがあるかもしれないのに、今の時点で答えを出せないことを、能力の問題のように感じる必要はありません。

それに、大人だって同じです。最初に選んだ道をそのまま歩き続ける人の方が、むしろ少数派かもしれません。進路とは一度決めたら終わりのものではなく、選び直しながら進んでいくもの。この前提に立つだけで、今の焦りは少し軽くなるはずです。

夢を探すのをやめて、逆から考える

やりたいことがない状態で、やりたいことは何?と自分に問い続けても、たいてい答えは出ません。質問の立て方を変える必要があります。将来何になりたいか、ではなく、将来どんな毎日を過ごしていたいか。職業名で考えるのをやめて、ありたい状態から考えるのです。

この考え方を、順番に落とすと次の3つのステップになります。

STEP 1
今の自分を棚卸しする

好きなこと、得意なこと、時間を忘れて没頭したこと、逆に苦痛だったこと。過去を振り返って、事実を書き出します。立派である必要はまったくありません。ゲームの攻略を調べ尽くした、友達の相談によく乗る、そういう日常の中の事実が材料になります。

STEP 2
理想の1日を描く

10年後、朝起きてから寝るまで、どんな1日を過ごしていたら幸せか。どこに住んで、誰といて、どんなことに時間を使っているか。職業名を使わずに、具体的な情景で描きます。ここで初めて、自分が大事にしたいものの輪郭が見えてきます。

STEP 3
今と理想をつなぐ橋を架ける

描いた理想の1日に近づくには、どんな力や知識、環境が必要か。それが学べる学問分野はどこか、それを扱う学部はどこか。ここまで来て初めて、大学・学部という選択肢が、他人の偏差値表ではなく自分の地図の上に現れます。

STEP1でつまずいたら。棚卸しのための問いかけ

いちばん最初の棚卸しが、実はいちばん難しいところです。白紙を前に、好きなことを書いてください、と言われても手が止まる。そんなときは、次のような問いから一つ選んで、思いつくまま答えを書いてみてください。

これまでの人生で、時間を忘れて没頭したことは何だった?
友達や家族から、よく頼まれることは何?
ニュースや動画で、つい手が止まって見てしまう話題は?
逆に、やっていて心からつまらないと感じたことは?
お金と時間が無限にあったら、明日から何をして過ごす?

ポイントは、答えを進路につなげようとしないで書くことです。この段階で、これは受験に使えないな、と選別を始めると、材料が集まる前に手が止まります。使えるかどうかの判断は、あとのステップですればいい。まずは事実を集めることだけに集中してください。

指導現場の視点
面談で棚卸しをすると、ほとんどの生徒が、こんなの大したことじゃないんですけど、と前置きしてから話し始めます。でも、その大したことじゃない話の中にこそ、その人の進路の種があります。ある生徒にとっては当たり前すぎて価値に気づいていないことが、外から見るとはっきりした強みだった、ということは本当によくあるのです。自分ひとりの棚卸しで行き詰まったら、家族や友達に、私って何してるときが一番楽しそう?と聞いてみてください。自分では見えない角度が手に入ります。

やりたいことがないまま、総合型選抜は受けられるのか

総合型選抜は、明確な夢を持った人のための入試だと思われがちです。たしかに出願時には、志望理由を言葉にする必要があります。ただ、それは今この瞬間に夢が決まっている必要がある、という意味ではありません。

むしろ順番は逆で、上の3ステップのような過程を経て、自分はこういうことを大事にしたい、だからこの学部でこれを学びたい、という筋道が立てば、それは立派な志望理由になります。生まれつきの夢より、考え抜いた末にたどり着いた理由の方が、自分の言葉で語れるぶん、面接でも揺らぎません。大事なのは、出発点に夢があることではなく、考えるための時間を確保することです。だからこそ、やりたいことがないと感じている人ほど、早く動き始める価値があります。

指導現場の視点
灯志舎では、この、ありたい姿から逆算して進路を設計する過程をライフ・ナビゲーションと呼んで、指導の最初に必ず置いています。将来が白紙の状態で来てくれて構わない、というより、白紙の生徒ほど一緒に考える意味がある、というのが正直な実感です。すでに答えを持っている人を後押しするより、答えがまだない人と一緒に地図を描く方が、指導者としてできることが多いからです。

今日からできる、最初の一歩

この記事を閉じたあと、ノートかスマホのメモを開いて、上の問いかけから一つ選んで答えを書いてみてください。3行で十分です。進路を考えるというのは、机に向かって将来の夢を絞り出すことではなく、こういう小さな棚卸しを積み重ねることです。

そして、書いたものを進路につなげる段階になったら、志望理由書という形に言葉を落としていくことになります。その書き方は別の記事で詳しく解説しているので、材料が集まってきたら読んでみてください。

代表講師 川崎
灯志舎 代表講師
川崎

総合型選抜の個別指導に携わりながら、将来のありたい姿から逆算する「ライフ・ナビゲーション」を軸に指導しています。

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将来やりたいことが、まだ何もなくても大丈夫です。

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