志望理由書の書き方|評価される構成と、よくある失敗
志望理由書は、総合型選抜の選考の中心になる書類です。そして、書き方の情報が世の中に溢れているのに、なぜか多くの受験生が同じ失敗をします。この記事では、評価される志望理由書の基本構成と、テンプレートに頼った書類が面接のどこで崩れるのかという、指導の現場から見えている落とし穴を解説します。
- 大学が見ているのは、過去・現在・未来と大学が一本の線でつながっているか
- 構成は、きっかけの経験 → 深まった問題意識 → この大学で学ぶ理由 → 将来の展望、の4要素
- テンプレートで書いた書類は、面接の二問目・三問目の深掘りで崩れる。自己分析の深さが完成度を決める
志望理由書で大学が見ているのは、たった一つのこと
細かい評価項目は大学ごとに違いますが、突き詰めると、志望理由書で見られているのは一つです。この受験生の過去・現在・未来と、うちの大学は、一本の線でつながっているか。
これまで何を経験し、そこから何を考え、だから何を学びたくて、それがなぜこの大学でなければならず、学んだ先に何をしたいのか。この線が通っている書類は、多少文章が拙くても評価されます。逆に、どれだけ美しい文章でも、線が切れている書類は残りません。書き方のテクニックはすべて、この一本の線を通すための手段です。
評価される志望理由書の基本構成
線を通すための構成は、次の4つの要素を順番に積むのが基本形です。
その分野に関心を持つに至った、具体的な経験や出来事。ここは事実で書きます。感動しました、ではなく、何を見て、何を感じ、何をしたか。固有名詞と数字があるほど、あなたにしか書けない文章になります。
きっかけから一歩進んで、自分で調べたこと・行動したこと・考えたこと。きっかけと問題意識の間にこの行動があるかどうかが、書類の厚みを決めます。ここが抜けると、感想文になります。
その問題意識に取り組むために、なぜこの大学・この学部なのか。カリキュラム、ゼミ、教員の研究、施設、教育方針。他の大学では代わりにならない理由まで踏み込めているかが問われます。
入学後に何をどう学び、卒業後にどんな形で社会と関わりたいか。職業名を断定する必要はありません。方向性と、そこへ向かう理由が語れていれば十分です。
よくある失敗。書類の段階で落ちるパターン
添削をしていて繰り返し出会う失敗を、そのまま挙げます。
| 失敗パターン | 何が起きているか |
|---|---|
| 失敗1きっかけが弱いと思い、話を盛る | 実体験でないエピソードは、細部を書けません。細部のない文章は読み手に必ず伝わりますし、面接で掘られたら終わりです。小さくても本当の経験の方が強いです。 |
| 失敗2大学のパンフレットの言葉で書く | 貴学の国際的な教育環境に魅力を感じ、のような文は、大学名を入れ替えても成立します。入れ替え可能な文章は、志望理由になっていません。 |
| 失敗3夢を大きく書きすぎる | 世界から貧困をなくしたい、自体は立派ですが、そこに至る現在地との接続がないと、絵空事に見えます。大きな夢ほど、足元の行動とセットで書く必要があります。 |
| 失敗4要素3が大学の事実の羅列になる | ◯◯教授がいて、◯◯プログラムがあって、と調べた事実を並べるだけでは足りません。その事実が自分の問題意識とどうつながるのか、の一文があって初めて意味を持ちます。 |
テンプレートで書いた書類は、面接のどこで崩れるか
いま、書き方の型や生成AIを使えば、それらしい志望理由書は誰でも作れます。書類の見た目だけなら、通用してしまうこともあるかもしれません。問題はその先です。総合型選抜には、ほぼ必ず面接があります。
面接官が最初にすることは、書類に書かれたことを一段深く掘ることです。その経験のとき、具体的に何をしたの?なぜそのとき、そう考えたの?他の選択肢もあった中で、なぜそれを選んだの?自分の経験と思考から書いた書類なら、これらは掘られるほど話が具体的になっていきます。借り物の言葉で書いた書類は、この二問目、三問目で急に答えが抽象的になる。書類と本人の言葉の解像度が合っていない状態は、面接官の側からは驚くほどはっきり見えます。
書き出しに悩んだら。最初の一文の考え方
書き出しで長く止まる受験生が多いので、実務的なコツを一つ。最初から冒頭を書こうとしないでください。いちばん書きやすいのは、具体的な経験がある要素1か、調べたことが手元にある要素3です。書ける場所から書いて、全体が埋まってから冒頭を整える。この順番の方が、結果的に良い書き出しになります。
そして冒頭の一文は、私は◯◯学部を志望します、という宣言から始めて構いません。奇をてらった書き出しで印象を残そうとするより、その後の中身で線が通っていることの方が、はるかに評価されます。