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進路・志望校の考え方

志望校の決め方|偏差値から選ぶと後悔する理由と、逆算の手順

志望校をどう決めればいいか分からない。この悩みの正体は、多くの場合、選ぶ基準を持っていないことです。基準がないから、とりあえず偏差値と知名度という誰かの物差しで選んでしまう。それで一般入試は乗り切れても、なぜこの大学かを問われ続ける総合型選抜では、借りた物差しは必ず行き詰まります。この記事では、自分の物差しで志望校を決めるための、逆算の手順を解説します。

この記事の要点
  • 偏差値は入りやすさの指標であって、自分に合うかの指標ではない
  • 順番は、ありたい姿 → 学びたい分野 → 学部・学科 → 大学。大学名から入らない
  • 最後の決め手は、資料の情報ではなく、自分の目で見たときの反応

偏差値で選ぶことの、本当のリスク

偏差値を基準にすること自体は、悪ではありません。合格可能性の目安として、出願戦略には必要な情報です。問題は、偏差値を選ぶ理由にしてしまうことです。

偏差値は、その大学に入る難しさを示す数字であって、その大学があなたに合うかどうかとは無関係です。偏差値で選んだ大学に入学して、学びの中身が想像と違い、通い続ける意味を見失う。このミスマッチは、実は珍しい話ではありません。そして総合型選抜においては、もっと手前で問題が起きます。なぜこの大学なのですかという問いに、偏差値がちょうどよかったから、とは書けない。志望理由が空洞のまま、書類と面接に挑むことになるのです。

逆算の5つの手順

では何から始めるか。大学名からではなく、自分から始めます。灯志舎が指導の最初に置いているライフ・ナビゲーションも、この逆算の考え方でできています。

1
ありたい姿を描く
職業名でなくていいので、将来どんな毎日を過ごしていたいかを考えます。何も浮かばない場合は、進路の考え方の記事に書いた棚卸しから始めてください。ここが土台になります。
2
学びたい分野に翻訳する
その姿に近づくために、役立ちそうな知識・力は何か。それを扱う学問分野はどこか。ここで初めて、経済学、心理学、情報科学といった分野の名前が出てきます。
3
学部・学科レベルで比較する
同じ分野でも、大学によって学部の中身は驚くほど違います。カリキュラム、ゼミ、卒業生の進路。大学名ではなく学部・学科の単位で、複数校を横に並べて見てください。
4
現実の条件でふるいにかける
ここで初めて偏差値・出願条件(評定・外部検定)・学費・立地の出番です。夢の条件で広げた候補を、現実の条件で3〜5校に絞ります。順番が大事で、現実条件を先に使うと、選択肢が広がる前に狭まってしまいます。
5
自分の目で見て決める
絞った候補は、必ず自分の目で見に行ってください。オープンキャンパスの記事で書いた通り、最後の決め手になるのは資料の情報ではなく、現地での自分の反応です。
指導現場の視点
面談で志望校の候補を聞くと、最初はほぼ全員が大学名で答えます。そこで、その大学の何学部で何を学びたいの?と聞くと、言葉に詰まる。責めているのではなく、それが普通の出発点です。ただ、指導を通じて順番が入れ替わり、この分野を学びたいから、この学部がある◯◯大学、と語れるようになった生徒は、志望理由書がまるで別物になります。文章力が上がったのではなく、書く中身が本人の中に生まれたからです。

知名度から入るなら、こう使う

ここまで偏差値や知名度だけで選ぶリスクを書いてきましたが、知名度を"入口"にするのは、使い方次第で悪くありません。大事なのは、憧れで終わらせず、根拠に変えることです。

入りたい業界があるなら、その業界の名の知れた企業を調べてみてください。その企業に、どの大学から何名入社しているかは、調べれば分かることが多い。超大手になると、ほぼ早慶か旧帝大からしか採っていない、という現実が見えることもあります。それは志望校を選ぶ、確かな根拠になります。行きたい会社から逆算して大学を決める——知名度は、この調べ物の出発点として使えばいい。

もう一つ、視野に入れてほしいのが海外大学という選択肢です。英語ができれば、進路は一気に広がります。学費を抑えやすい国や、日本ではあまり知られていない強い分野を持つ大学もあります。そして海外大の出願時期は、日本の受験とずれていることが多い。だから、日本の総合型で思うようにいかなかったとしても、海外を次の一手として視野に入れられます。日本の大学だけが道ではない、と知っておくだけで、選び方の自由度が変わります。

海外大学の学費・出願制度・必要な語学要件は、国や大学、年度によって大きく異なり、変更もあります。関心があれば、必ず各大学の最新の公式情報で確認してください。

やりがちな決め方と、その落とし穴

決め方落とし穴
NG偏差値の届く範囲で一番上入ることが目的化し、入学後の目標を失いやすい。総合型選抜では志望理由が書けない
NG親・先生・友達が勧めるから他人の理由では、なぜこの大学かの深掘りに耐えられない。勧めは情報として聞き、決定は自分でする
NG知っている大学名から選ぶ高校生が知っている大学は全体のごく一部。知名度は教育の中身の指標ではない
NG就職に強いらしいから就職実績は学部・学科単位で大きく異なり、そもそも、どんな仕事に就きたいかが先に必要な情報
指導現場の視点
最後に、いちばん伝えたいことを。受験は、人生の通過点にすぎません。もし思いどおりにいかなかったとしても、多くの人にとって、それは人生を左右するほどの問題にはなりません。だから、目の前の合否だけでなく、その先の人生を見据えて大学を選んでほしい。——とはいえ、高3の進路選択が、その後10年ほどの人生に大きな影響を与えるのも事実です。だからこそ、一人で考え込まないでください。頼りになる大人に、相談してほしい。あなたが知らない情報を、大人はたくさん持っています。選択肢は、あなたが今見えているものより、ずっと広いのです。

途中で変わっていい。むしろ変わるのが健全

逆算で決めた志望校も、調べたり見に行ったりする中で変わることがあります。それは失敗ではありません。情報が増えて判断が更新された、という健全なプロセスです。高1・高2の記事でも書いた通り、選び直せる時期に考え始めた人だけが、この更新の恩恵を受けられます。

一方、高3の夏以降に志望校を大きく変えるのは、書類の作り直しを考えると現実的に厳しくなります。志望校選びには、鮮度ではなく熟成が必要です。早めに仮決めして、情報で揉んで、固めていく。今日、手順1の問いをノートに書くところから始めてみてください。志望校が絞れてきたら、総合型選抜の全体像を押さえて出願条件の確認に進みましょう。

指導現場の視点
志望校が決まらないと相談に来る生徒の多くは、実は決められないのではなく、決めた後に間違いだったらどうしようという不安で止まっています。伝えたいのは、進路の決定は一回きりの賭けではないということです。大学で学びながら方向を修正した人、卒業後に道を変えた人を、私は自分自身も含めてたくさん知っています。いま決めることの意味は、一生を固定することではなく、次の4年間の出発点に納得することです。それなら、少し肩の力を抜いて選べるはずです。
代表講師 川崎聡介
灯志舎 代表講師
川崎聡介

将来のありたい姿から逆算する独自メソッド「ライフ・ナビゲーション」を軸に、志望理由書から面接まで一貫して伴走しています。

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