保護者向け
親子で志望校がずれたときの向き合い方【保護者向け】
子どもが選んできた志望校が、親の期待と違う。知名度、距離、学部の就職イメージ、費用。理由はさまざまですが、この対立は総合型選抜の家庭で特によく起きます。志望理由を深く掘る入試だからこそ、本人の意思が明確になり、親の想定とぶつかるのです。この記事では、対立の正体の見分け方と、話し合いの設計を、保護者の視点で解説します。
この記事の要点
- 対立の多くは、志望校の対立ではなく、情報量の差と心配の置き場所の対立
- 議論の土俵を、大学名から、4年間で何を学び卒業後どうするかに移すと、話は前に進む
- お金と通学距離など、家庭の制約は、隠さず最初に条件として共有する方が親子双方のためになる
対立の正体を、まず見分ける
親子で志望校がずれるとき、表面上は大学名の対立に見えますが、中身はたいてい次のどれかです。
| 対立の正体 | 実際に起きていること |
|---|---|
| 情報量の差 | 子どもはシラバスまで調べた上で選び、親は自分の受験期の大学イメージ(偏差値序列・知名度)で判断している。逆に、子どもの調べが浅いケースもある |
| 心配の置き場所の差 | 本人は学びたいことを見て、親は卒業後の安定を見ている。見ている時間軸が違うだけで、どちらも本人のためを思っている |
| 現実的な制約 | 学費、一人暮らしの費用、通学距離。家庭として本当に譲れない条件が、言い出せないまま感情の対立に化けている |
まず、わが家の対立はどれなのかを見分けてください。正体が違えば、必要な話し合いも違います。情報量の差なら一緒に調べ直せばいいし、制約なら条件として早く共有すればいい。感情のぶつかり合いに見える対立の多くは、分解すると交渉可能な部品でできています。
話し合いの設計。土俵を変える
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大学名の議論を、一度やめる
A大学かB大学か、で話すと、勝ち負けの構図になります。土俵を、4年間で何を学びたいのか、卒業後どんな方向に進みたいのか、に移してください。指定校と総合型の記事で書いた、4年後の議論と同じ発想です。目的地の話が揃えば、大学名は手段の比較に戻ります。2
子どもに、調べたことを説明してもらう
その大学で何が学べて、なぜそこがいいのか。本人がリサーチ(調べ方の記事)に基づいて説明できるなら、その志望は尊重に値する強度を持っています。説明が曖昧なら、結論を否定する代わりに、一緒に調べ直す提案を。説明の機会は、本人にとって面接の予行にもなります。3
親の心配は、質問の形で渡す
その学部の就職はどうなの、と断定でぶつけると防御が返ってきます。卒業後の進路のデータは調べてみた?と質問で渡すと、宿題になります。心配を、否定ではなく、調べる項目に変換する。これが親にできる一番建設的な関与です(保護者の関わり方の記事)。指導現場の視点
無料相談で親子と話すと、対立している家庭ほど、実は互いの主張をちゃんと聞いたことがない、ということがよくあります。子どもは、どうせ反対される、と結論だけ伝え、親は、心配だから、と理由を言わずに渋る。第三者が間に入って、それぞれの理由を順番に話してもらうだけで、あ、そういうことだったの、と半分ほどける。もし家庭内で膠着したら、学校の先生や外部の面談など、第三者のいる場で一度話すことを勧めます。対立の解消に必要なのは、説得の技術より、通訳です。
親が譲れない条件は、早く、条件として
学費や下宿の費用など、家庭として本当に無理な線があるなら、それはお金の記事で書いた通り、受験計画の初期に、条件として共有してください。出願直前や合格後に出てくる制約は、本人の努力を無に帰す形になり、親子関係に深い傷を残します。逆に、最初に示された制約の中で選んだ志望校は、本人にとって、自分で選んだ学校です。制約の提示は、夢を潰す行為ではなく、実現可能な夢の土俵を示す行為。この順番だけは、間違えないでほしいと思います。
指導現場の視点
最後に、少し長い時間軸の話を。総合型選抜は、本人の、ここで学びたいという意思が書類と面接の全てを支える入試です。親が押し込んだ志望校では、その言葉に力が宿らず、選考でも不利に働きます。そして仮に合格しても、親が選んだ大学は、うまくいかないことがあったとき、本人の中で親のせいにできる大学になってしまう。自分で選んだという事実は、4年間の困難を自分の力で乗り越えるための、目に見えない装備です。最終決定権を本人に渡すことは、甘やかしではなく、その装備を持たせることだと、多くの親子を見てきて思います。
まとめ
対立の正体を見分け、土俵を大学名から学びの中身に移し、心配は質問に、制約は早めの条件に。親の関わり方の全体は保護者の記事、制度の基礎は基礎の記事で確認してください。