進路・志望校の考え方
大学の調べ方の実務|パンフ・サイト・シラバスをどの順で、どこまで読むか
リサーチが大事、その大学でなければならない理由を書け。総合型選抜の対策では繰り返しそう言われます。では具体的に、何をどの順番で調べればいいのか。やみくもにパンフレットを眺めても、時間だけが溶けます。この記事では、大学リサーチの実務を、調べる素材別・段階別に整理します。書類にも面接にも直結する、調査の型です。
この記事の要点
- 調べる順番は、広く浅く(パンフ・サイト)→絞って深く(カリキュラム・シラバス)→人まで(教員・ゼミ)
- パンフレットは大学の広告。シラバスと履修モデルが、学びの実像を映す一次資料
- 調べたことはリサーチノートに一元化する。書類・面接・逆質問の素材庫になる
調べる素材の性格を知る
大学が発信する情報には、それぞれ性格があります。性格を知って使い分けるのが、リサーチの第一歩です。
| 素材 | 性格と使い方 |
|---|---|
| パンフレット(大学案内) | 大学の広告。強みの打ち出しや雰囲気を掴む入口には最適だが、ここで止まると誰でも書ける志望理由になる |
| 公式サイトの学部ページ | 学科構成、カリキュラムの特色、3つのポリシー(ポリシーの記事)。リサーチの中心地 |
| シラバス・履修モデル | 授業一つひとつの内容が書かれた一次資料。読んだ受験生と読んでいない受験生の差が、書類の具体性に直結する(学修計画の記事) |
| 教員・研究室の情報 | 教員の研究テーマ、ゼミの内容。志望理由の、この大学でなければならない理由の最有力素材 |
| オープンキャンパス・説明会 | 空気と人を確かめる場(歩き方の記事)。行けない場合の代替は別記事で |
3段階の調べ方
1
第1段階:広く浅く(候補5〜10校)
パンフとサイトのトップ情報で、学べる分野・立地・雰囲気を掴み、候補を並べる段階。ここでは1校30分で十分。深追いせず、比較して絞ることが目的です(志望校の決め方の記事)。2
第2段階:絞って深く(候補2〜4校)
本命候補について、3つのポリシーを印刷して線を引き、履修モデルで4年間の流れを掴み、シラバスで気になる授業を5つ読む。ここまでやると、書類に書ける固有名詞と、入学後の自分の解像度が一気に上がります。1校あたり数時間の投資です。3
第3段階:人まで降りる(出願校)
出願を決めた大学は、教員の研究テーマまで調べます。学部サイトの教員一覧から、自分の関心に近い先生を見つけ、研究内容の紹介や著書を確認する。◯◯教授の△△の研究、という一行が書けるかどうかは、この段階をやったかどうかの差です。面接の逆質問(逆質問の記事)の材料も、ここから生まれます。指導現場の視点
リサーチ指導で必ず作ってもらうのが、1校1ページのリサーチノートです。項目は5つだけ。①ポリシーの要点、②惹かれた授業・プログラム(名称と理由)、③気になる教員と研究テーマ、④疑問に思ったこと、⑤自分の経験との接点。このノートの威力は、書類を書くときに現れます。志望理由書のその大学でなければならない理由、学修計画書、面接の逆質問。全部このノートから引くだけになる。調べながら書く、を分離して、調べ切ってから書く、に変える道具です。
調べるときの3つの注意
- 情報の鮮度を確認する カリキュラムは改組されます。古いパンフや先輩の話ではなく、最新年度の公式情報で。学部の新設・改組の予定が公表されていることもあります
- 口コミサイトは参考程度に 在学生の声は貴重ですが、個人の感想です。書類に書く事実は、必ず公式の一次情報で裏を取る
- 調べた結果、違和感が出たら大事にする シラバスを読んで、思っていた学びと違うと気づくのは、リサーチの失敗ではなく最大の成果です(学修計画の記事で書いた検証装置の話)。出願前に気づけたことを、幸運と考えてください
指導現場の視点
リサーチの深さは、面接で必ず露見します。面接官は自分の大学のことを世界一知っている人たちなので、パンフの受け売りか、シラバスまで読んだ言葉かは、一往復で分かる。逆に言えば、リサーチは、才能も文章力も関係なく、かけた時間がそのまま評価に変わる、受験で数少ない正直な領域です。書類の表現に悩む時間があったら、シラバスをもう5本読む。その方が、書類も面接も強くなります。
まとめ
大学リサーチは、広く浅く→絞って深く→人まで、の3段階。シラバスと教員情報という一次資料まで降り、リサーチノートに一元化する。志望校の絞り方は志望校の記事、総合型選抜の全体像は基礎の記事で確認してください。