志望理由書の書き出しと締め方|最初と最後の一文で迷わないために
志望理由書で一番時間を溶かしやすいのが、最初の一文です。印象的な書き出しにしなければ、と何時間も画面とにらめっこする。先に結論を言うと、その時間はほぼ無駄です。書き出しに求められているのは、印象ではなく明快さ。この記事では、迷わず書ける冒頭の型と、避けるべき書き出し、そして最後の一文の作り方まで解説します。
- 書き出しは、志望の宣言から入る直球型で十分。奇をてらう必要はない
- 冒頭で決まるのは合否ではなく、読み手が内容に集中できるかどうか
- 書く順番は、冒頭からではなく、書ける部分から。冒頭は最後に整える
書き出しの誤解。第一印象で合否は決まらない
書き出しが大事、という助言は世の中に溢れています。半分は正しくて、半分は誤解です。正しいのは、分かりにくい冒頭は読み手の負担になる、という部分。誤解なのは、印象的な書き出しが加点される、という部分です。
面接官や入試担当者は、何十枚、何百枚と書類を読みます。その読み手にとってありがたいのは、詩的な一文ではなく、この受験生が何を言いたいのかがすぐ分かる冒頭です。書き出しの役割は、心を掴むことではなく、読み手を迷子にしないこと。この認識に切り替えるだけで、冒頭で止まる時間は消えます。
迷わず書ける、冒頭の2つの型
どちらの型でも、冒頭の役目は、第一段落が終わった時点で、読み手が、この受験生は◯◯を学びたい人だと把握できていることです。それ以上の演出は要りません。
避けたい書き出し
| 書き出し | 何が問題か |
|---|---|
| NG辞書的な定義から入る(◯◯とは、△△のことである) | 字数を消費するわりに、あなたの情報がゼロ。読み手が知っていることの説明は不要 |
| NG社会問題の一般論から入る(現代社会では◯◯が問題となっている) | 誰にでも書ける導入は、誰の記憶にも残らない。社会背景を書くなら、自分との接点とセットで |
| NG名言・格言の引用から入る | 借り物の言葉で始まる書類は、以降も借り物の印象を引きずる。求められているのはあなたの言葉 |
| NG貴学の建学の精神への賛辞から入る | お世辞から入る文章は、本題への期待値を下げる。理念への共感を書くなら、根拠と具体を伴って本文で |
書く順番。冒頭は最後でいい
実務的に一番大事な話をします。志望理由書は、冒頭から順番に書く必要がありません。むしろ、書きやすい部分から書くべきです。具体的な経験がある原体験のパートや、調べた情報が手元にある大学リサーチのパートから書き始めて、全体が埋まってから冒頭を整える。この順番なら、冒頭は全体の要約として自然に決まります。
白紙の状態で最初の一文と格闘する時間は、創作ではなく停滞です。今日から、書ける場所から書く、に切り替えてください。
締めの一文。未来に向けて閉じる
意外と手を抜かれがちなのが、最後の一文です。よくあるのは、以上の理由から貴学を志望する、で終わる型。間違いではありませんが、最後にもう一歩だけ踏み込む余地があります。
おすすめは、入学後・卒業後の行動への意思で閉じることです。貴学での学びを通して◯◯を実現し、△△に貢献したい。私はそのための4年間を、貴学で過ごしたいと考えている。読み手の頭に最後に残るのが、過去の理由ではなく未来への意思になる。大学を通過点として描くという原則(構成の記事参照)を、締めの一文で体現する形です。
まとめ
書き出しは直球型で十分、書く順番は書ける場所から、締めは未来への意思で。冒頭と末尾は、書類の顔ではなく、額縁です。中の絵、つまり経験と志望をつなぐ一本の線こそが本体で、その描き方は志望理由書の書き方の記事で解説しています。書類全体の位置づけは総合型選抜の基礎の記事からどうぞ。