教育・教員養成系の総合型選抜対策|先生になりたい、を検証する
教育系・教員養成系の志望動機は、驚くほど似ています。中学のときの恩師に憧れて。それ自体は素晴らしい出発点ですが、出願者の大半が同じ物語を持ってきます。この分野で差がつくのは、憧れの強さではなく、憧れをどれだけ検証したかです。この記事では、憧れを自分の教育観に育てる方法と、小論文の傾向、今からできる経験づくりを解説します。
- 恩師への憧れは出発点。憧れの中身を分解し、教育の課題と接続できたとき志望理由になる
- 教える経験は、学校の外にも作れる。後輩指導・学習支援・子どもと関わる活動すべてが素材
- 小論文は、教育格差・ICT・不登校・教員の働き方など、教育の今を問う出題が中心
恩師への憧れを、分解する
先生に憧れて教員を志す。この動機を弱いと言う人がいますが、正確ではありません。弱いのは、憧れの解像度が低いまま提出される書類です。まず、あなたの恩師の何に心を動かされたのかを分解してください。
- 授業の分かりやすさ? だとしたら、どんな工夫がそれを生んでいた?
- 一人ひとりへの関わり方? 具体的に、どんな場面のどんな言葉だった?
- クラスという集団の作り方? あの教室の空気は、何によって作られていた?
ここまで分解すると、あなたの関心が、教科指導なのか、生徒指導・支援なのか、学級経営なのかが見えてきます。それはそのまま、教育学部の中でどの領域を学びたいかの答えになります。憧れの人物を、憧れの機能に翻訳する。これがこの分野の志望理由の第一歩です。
憧れの先へ。教育の課題と接続する
次の一歩は、個人的な憧れを、社会の中の教育の課題と接続することです。あなたが良い先生に出会えた一方で、教育の現場には、家庭環境による学力差、不登校の増加、教員の多忙、ICT活用の格差など、構造的な課題が山積しています。自分の原体験と、こうした課題のどれかが交差する点を探してください。
たとえば、勉強が苦手な友人に教えた経験があるなら、つまずきの個人差とどう向き合うかという課題へ。塾に行けない友人の話が心に残っているなら、教育格差の問題へ。憧れ(個人)と課題(社会)の両方に足がついた志望理由は、この分野で一段抜けます。
教える経験は、学校の外でも作れる
この分野の活動実績というと教育実習的な経験を想像しがちですが、高校生に求められているのはそれではありません。人に何かを教える・人の学びに関わる経験は、身近に作れます。
| 経験の場 | 例と、掘りどころ |
|---|---|
| 部活・委員会 | 後輩への指導。教え方を変えたら伝わった経験、伝わらなくて悩んだ経験こそ素材(部活の記事参照) |
| 地域・ボランティア | 子ども会、学習支援、キャンプの補助スタッフなど、年下と関わる活動全般 |
| 日常 | 弟妹の勉強を見た、友達に教えた。小さくても、どう工夫したかを言語化すれば十分な素材 |
| 探究 | 教育をテーマにした探究(地域の学習環境調査、効果的な暗記法の実験など)は、志望と一本線が引ける(探究の記事参照) |
大事なのは、教えた事実ではなく、そこで気づいたことです。同じ説明でも相手によって伝わり方が違った、できない子の気持ちが自分には分からなかった。そうした発見や挫折は、教育を学ぶ動機として、どんな実績より説得力を持ちます。
小論文の傾向
教育系の小論文は、教育の今を問う出題が中心です。頻出は、教育格差(家庭環境・地域差)、ICTと教育(1人1台端末、AIと学び)、不登校・多様な学びの場、いじめ、教員の働き方、主体的な学びとは何か、など。頻出テーマの記事の4つの根で言えば、格差と技術の根から多く出ます。
答案の分かれ目は、児童・生徒、教員、保護者、行政と、立場によって見え方の違う問題を、複数の視点から論じられるかです。生徒の視点だけで書いた答案は一面的に映ります。あなたはこれから、教わる側から教える側に視点を移そうとしている。その移行の途中であることを、答案の視点の広さで示してください。
まとめ
教育・教員養成系の総合型選抜は、憧れを分解し、教育の課題と接続し、身近な教える経験を言語化する分野です。書類の組み立ては志望理由書の記事、選抜の全体像は基礎の記事で確認してください。