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スポーツ・健康科学系の総合型選抜対策|競技実績だけに頼らない

スポーツ・健康科学系は、部活に打ち込んできた人が多く志望する分野です。ここで注意したいのは、競技実績が評価のすべてではないこと。スポーツ推薦とは違い、総合型選抜で見られているのは、スポーツを学問として学ぶ準備です。この記事では、競技者の視点から研究者の視点への切り替え方と、実績がある人・ない人それぞれの戦い方を解説します。

この記事の要点
  • スポーツ推薦(競技力)と総合型選抜(学びへの適合)は評価軸が違う。混同しない
  • やってきた、を、考えてきた、に変換できるかが書類の分かれ目
  • 競技実績がなくても、支える側・調べる側の視点から十分に戦える分野

スポーツ推薦と総合型選抜は、別の試合

最初に整理しておきたいのが、スポーツ推薦(競技力を評価する入試)と、スポーツ系学部の総合型選抜の違いです。前者は競技成績そのものが評価の中心。後者は、他の学部の総合型選抜と同じく、学部での学びへの適合と意欲が評価の中心です。

つまり、全国レベルの実績があっても、スポーツを学問として学びたい理由が語れなければ、総合型選抜では評価が伸びません。逆に、競技実績が平凡でも、スポーツという現象への問いが深ければ戦える。この構造を知らずに、競技歴の華やかさで勝負しようとするのが、この分野で最も多いすれ違いです。

やってきた、を、考えてきた、に変換する

スポーツ系学部で学ぶのは、トレーニング科学、スポーツ医学、バイオメカニクス、スポーツ心理学、コーチング論、スポーツマネジメント、健康増進など、スポーツを対象とした科学です。だから書類で示すべきは、競技の中で、あなたがすでに小さな科学を始めていた形跡です。

やってきた(実績の報告)考えてきた(学問の入口)
毎日走り込みを続けた練習量と疲労の関係に疑問を持ち、練習日誌から自分の調子の波を分析した
けがを乗り越えたなぜそのけがが起きたのかフォームを見直し、再発予防の体の使い方を調べた
キャプテンを務めたモチベーションが人によって違う理由に興味を持ち、声かけを相手ごとに変えて反応を観察した

右側の語りに共通するのは、経験→疑問→調べる・試す、という探究のサイクルです(実績の記事参照)。競技生活を振り返って、自分がなぜ?と思った瞬間を書き出すことから始めてください。その疑問こそが、学部で学びたい領域(トレーニング科学か、心理か、マネジメントか)を指し示すコンパスになります。

指導現場の視点
競技実績のある生徒ほど、実は書類で苦戦することがあります。実績が立派なぶん、それを並べれば伝わると思ってしまい、思考の掘り下げが浅くなるのです。面接官が全国大会出場者に聞きたいのは、大会の結果ではなく、そこまでの過程で何を考えたかです。実績は、深掘りに耐える思考とセットになって初めて、この入試での武器になります。部活の記事で書いた語り方の原則が、この分野ではそのまま本丸になります。

競技実績がない人の戦い方

スポーツ系学部は、トップ選手だけの場所ではありません。学部の学びの出口には、指導者、トレーナー、教員、スポーツビジネス、健康づくりの専門家など、支える側・広める側の進路が広くあります。だから、競技者としての実績がなくても、次のような入口から十分に戦えます。

  • 支えた経験 マネージャー、けがでプレーできない間のサポート役、後輩の指導。プレーヤーには見えない視点を持っている強み
  • 自分や家族の体の経験 けが・リハビリの経験、家族の健康問題から運動と健康の関係に関心を持った、など
  • 見る・調べる側の探究 戦術分析が好き、スポーツとデータの関係を調べた、地域のスポーツ環境を探究テーマにした(探究の記事参照)
  • 健康・運動の社会課題への関心 子どもの体力低下、高齢者の健康寿命、運動部活動の地域移行など、スポーツを社会の側から見る視点

小論文・面接の傾向

小論文の頻出は、スポーツと教育(部活動のあり方、勝利至上主義)、健康と社会(運動不足、健康寿命)、スポーツとテクノロジー(データ活用、判定技術)、スポーツの価値(フェアプレー、共生)など。競技経験を前提にしつつ、スポーツを社会の中に置いて論じさせる出題が目立ちます。自分の競技の内側の話だけで書くと視野の狭さが出るので、テーマの記事の要領で、スポーツ×社会のニュースに日頃から触れておいてください。

面接では、競技の話は深掘りされる前提で(それはむしろチャンス)、加えて、指導と体罰、勝利と健康のバランスなど、スポーツ界の課題への考えを問われることがあります。ここでも、内側の常識を一度疑って考えられるかが見られています。

指導現場の視点
この分野の志望理由で好感を持たれるのは、自分の競技人生への少し引いた視線です。あんなに苦しい練習は、本当に必要だったのか。自分を伸ばした指導と、潰しかけた指導の違いは何だったのか。競技への愛と、競技界への問いが同居している書類は、学問の入口に立っている人の書類として読まれます。愛だけでも、批判だけでもなく、両方。それがスポーツを科学する、ということの出発点です。

まとめ

スポーツ・健康科学系の総合型選抜は、競技力の勝負ではなく、スポーツへの問いの勝負です。やってきたを考えてきたに変換し、実績がなければ支える・調べる側の入口から。書類の設計は志望理由書の記事、選抜の全体像は基礎の記事で確認してください。

代表講師 川崎
灯志舎 代表講師
川崎

総合型選抜の個別指導に携わりながら、将来のありたい姿から逆算する「ライフ・ナビゲーション」を軸に指導しています。

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