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芸術・デザイン系の総合型選抜対策|作品と言葉の両輪で挑む

芸術・デザイン系の総合型選抜は、作品がものを言う世界に見えます。実際、ポートフォリオや実技が課される点は他学部と違います。ただ、選考の場で作品と同じくらい問われるのが、なぜ作ったのか、何を考えて作ったのかを語る言葉です。この記事では、技術の上手さの先で見られていること、ポートフォリオの考え方、制作の言語化の鍛え方を解説します。

この記事の要点
  • 見られているのは完成度だけではなく、着眼・試行錯誤・自分なりの問題意識
  • ポートフォリオは作品集ではなく、思考の記録。過程やボツ案も語る材料になる
  • つくることと語ることは別の技術。制作ノートの習慣が、面接の言葉を作る

上手さの先で、見られているもの

まず前提として、芸術・デザイン系の選考形式は大学によって大きく異なります。ポートフォリオ提出、持参作品のプレゼン、その場での実技・デッサン、課題制作など。志望校の募集要項と過去の選考内容の確認が、他分野以上に重要です。

その上で、共通して言えることがあります。大学が探しているのは、現時点で一番上手い人ではなく、これから4年間で最も伸びる人だということです。技術は大学で教えられます。教えにくいのは、ものを観る目、自分なりの問題意識、試行錯誤を続ける姿勢。だから選考では、作品の完成度に加えて、なぜこれを作ったのか、どこで悩み、何を変えたのか、という制作の裏側が繰り返し問われます。

ポートフォリオは、作品集ではなく思考の記録

ポートフォリオを、完成作品のベストアルバムだと考えると、方向を誤ります。読み手が知りたいのは、作品の背後にあるあなたの頭の中です。

1
各作品に、一言の問いを添える
この作品で何を試したのか、何に引っかかって作ったのか。きれいなキャプションではなく、動機の一文。これがあるだけで、作品が思考の証拠に変わります。
2
過程とボツ案を恐れず入れる
スケッチ、習作、うまくいかなかった案とその理由。完成品より、変更の履歴にこそ、伸びる人の証拠が写ります。数を並べるより、1作品の深い過程の方が強いこともあります。
3
並べる順に、物語を持たせる
時系列でも、テーマ別でも構いませんが、全体を通して読んだときに、あなたの関心の変遷や深まりが見える構成に。ポートフォリオ全体が一つの自己紹介になっているのが理想です。
ポートフォリオの形式・点数・サイズの指定は大学ごとに細かく異なります。規定違反は内容以前の減点になるので、要項の指定を最初に確認し、指定に合わせて設計してください。

つくる人が、語れるようになるために

作るのは好きだが、語るのは苦手。この分野で最も多い悩みです。まず知っておいてほしいのは、語る力は才能ではなく、習慣で作れる技術だということです。

お勧めするのは、制作ノートの習慣です。制作の途中で、いま何に悩んでいるか、なぜこの色・形・素材を選んだか、を数行ずつメモしておく。制作が終わってから振り返って言葉にしようとすると、選択の理由は驚くほど思い出せません。途中で書かれた数行が、後の面接やポートフォリオの言葉の原液になります。記録の習慣の記事で書いた月1メモの、制作版だと考えてください。

指導現場の視点
作品について語る練習で、効果がはっきり出る問いがあります。この作品を、もう一度作り直せるとしたら、どこを変える? この問いに具体的に答えられる人は、自分の作品を客観視できている人です。面接での作品の深掘りは、自慢を聞きたいのではなく、この客観視の力を確かめています。うまくいった点と、今なら変える点。両方を語れる状態を、提出前に作っておいてください。

技術に自信がない人へ。着眼で戦う

美術予備校に通っていない、専門的な訓練を受けていない。その状態でこの分野に挑む場合、技術の土俵で競わない戦略が要ります。武器になるのは着眼です。日常の違和感(なぜこの案内表示は分かりにくいのか)、身の回りの課題(祖母が使いにくそうにしている道具)から出発した制作は、技術的に拙くても、デザインの本質(問題の発見と解決)を掴んでいる証拠になります。特にデザイン系の学部は、絵の上手さより、問題を見つける目を重視する傾向が強まっています。志望学部が何を評価するのか(実技の比重、ポートフォリオの比重)を要項で見極めて、自分の勝てる土俵を選んでください。

小論文・面接の傾向

小論文や記述課題では、芸術・デザインと社会(AIと創作、著作権、デザインの社会的役割)、美とは何か、伝統と革新、といったテーマが登場します。作品を一つ挙げて論じさせる形式もあります。日頃から、良いと感じた作品・デザインについて、なぜ良いと感じたのかを言葉にする練習が、そのまま対策になります(テーマの記事参照)。

面接では、影響を受けた作家・作品、最近見た展覧会、志望学部の教員の作品や研究への言及などが定番です。作る人であると同時に、観る人・調べる人であることも示せると、学びへの準備が伝わります。

指導現場の視点
この分野の志望理由で、好きだから、上手くなりたいから、の先に進むための問いを一つ。あなたの作るものは、誰の、何を変えたいですか? 自分の内面の表現なのか、誰かの課題の解決なのか、社会への問いかけなのか。答えはどれでも構いませんが、この問いに自分の言葉を持っている人の書類は、制作者から表現者・設計者へと一段登った場所から書かれます。技術の巧拙を越えて、その視座が伝わります。

まとめ

芸術・デザイン系の総合型選抜は、作品と言葉の両輪です。ポートフォリオは思考の記録として設計し、制作ノートで語る言葉を貯め、着眼で自分の土俵を作る。書類の基本は志望理由書の記事、選抜の全体像は基礎の記事で確認してください。

代表講師 川崎
灯志舎 代表講師
川崎

総合型選抜の個別指導に携わりながら、将来のありたい姿から逆算する「ライフ・ナビゲーション」を軸に指導しています。

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