芸術・デザイン系の総合型選抜対策|作品と言葉の両輪で挑む
芸術・デザイン系の総合型選抜は、作品がものを言う世界に見えます。実際、ポートフォリオや実技が課される点は他学部と違います。ただ、選考の場で作品と同じくらい問われるのが、なぜ作ったのか、何を考えて作ったのかを語る言葉です。この記事では、技術の上手さの先で見られていること、ポートフォリオの考え方、制作の言語化の鍛え方を解説します。
- 見られているのは完成度だけではなく、着眼・試行錯誤・自分なりの問題意識
- ポートフォリオは作品集ではなく、思考の記録。過程やボツ案も語る材料になる
- つくることと語ることは別の技術。制作ノートの習慣が、面接の言葉を作る
上手さの先で、見られているもの
まず前提として、芸術・デザイン系の選考形式は大学によって大きく異なります。ポートフォリオ提出、持参作品のプレゼン、その場での実技・デッサン、課題制作など。志望校の募集要項と過去の選考内容の確認が、他分野以上に重要です。
その上で、共通して言えることがあります。大学が探しているのは、現時点で一番上手い人ではなく、これから4年間で最も伸びる人だということです。技術は大学で教えられます。教えにくいのは、ものを観る目、自分なりの問題意識、試行錯誤を続ける姿勢。だから選考では、作品の完成度に加えて、なぜこれを作ったのか、どこで悩み、何を変えたのか、という制作の裏側が繰り返し問われます。
ポートフォリオは、作品集ではなく思考の記録
ポートフォリオを、完成作品のベストアルバムだと考えると、方向を誤ります。読み手が知りたいのは、作品の背後にあるあなたの頭の中です。
つくる人が、語れるようになるために
作るのは好きだが、語るのは苦手。この分野で最も多い悩みです。まず知っておいてほしいのは、語る力は才能ではなく、習慣で作れる技術だということです。
お勧めするのは、制作ノートの習慣です。制作の途中で、いま何に悩んでいるか、なぜこの色・形・素材を選んだか、を数行ずつメモしておく。制作が終わってから振り返って言葉にしようとすると、選択の理由は驚くほど思い出せません。途中で書かれた数行が、後の面接やポートフォリオの言葉の原液になります。記録の習慣の記事で書いた月1メモの、制作版だと考えてください。
技術に自信がない人へ。着眼で戦う
美術予備校に通っていない、専門的な訓練を受けていない。その状態でこの分野に挑む場合、技術の土俵で競わない戦略が要ります。武器になるのは着眼です。日常の違和感(なぜこの案内表示は分かりにくいのか)、身の回りの課題(祖母が使いにくそうにしている道具)から出発した制作は、技術的に拙くても、デザインの本質(問題の発見と解決)を掴んでいる証拠になります。特にデザイン系の学部は、絵の上手さより、問題を見つける目を重視する傾向が強まっています。志望学部が何を評価するのか(実技の比重、ポートフォリオの比重)を要項で見極めて、自分の勝てる土俵を選んでください。
小論文・面接の傾向
小論文や記述課題では、芸術・デザインと社会(AIと創作、著作権、デザインの社会的役割)、美とは何か、伝統と革新、といったテーマが登場します。作品を一つ挙げて論じさせる形式もあります。日頃から、良いと感じた作品・デザインについて、なぜ良いと感じたのかを言葉にする練習が、そのまま対策になります(テーマの記事参照)。
面接では、影響を受けた作家・作品、最近見た展覧会、志望学部の教員の作品や研究への言及などが定番です。作る人であると同時に、観る人・調べる人であることも示せると、学びへの準備が伝わります。
まとめ
芸術・デザイン系の総合型選抜は、作品と言葉の両輪です。ポートフォリオは思考の記録として設計し、制作ノートで語る言葉を貯め、着眼で自分の土俵を作る。書類の基本は志望理由書の記事、選抜の全体像は基礎の記事で確認してください。