小論文対策
小論文が時間内に書き終わらない人の処方箋|原因別の時間配分改革
小論文の練習をするたび、時間切れで尻切れとんぼになる。この悩みの原因を、書くのが遅いからだと思っているなら、たぶん誤診です。時間切れの正体は、ほとんどの場合、書く速度ではなく、書く前の設計にあります。この記事では、どこで時間が溶けているかの診断と、原因別の処方、そして本番で間に合わなくなったときの応急処置を解説します。
この記事の要点
- 時間切れの主因は筆の遅さではなく、構成を決めずに書き始めることと、書きながら考えること
- 時間配分の原則は、読む2:構成3:書く4:見直し1。構成に3割を先払いする
- 本番で残り時間が足りないと気づいたら、途中を削ってでも結論を書き切る
診断。あなたの時間は、どこで溶けているか
| 症状 | 本当の原因 |
|---|---|
| 書き始めるまでに時間がかかる | 構成を頭の中だけで完成させようとしている。メモに書き出せば、思考は速くなる |
| 書いている途中で手が止まる、消して書き直す | 構成が未完成のまま見切り発車している。書きながら考えるのは、最も時間を溶かす書き方(原稿用紙の記事で書いた訂正の多発もここから) |
| 前半が厚く、後半が薄い尻切れ答案になる | 段落ごとの字数の割り当てをせずに書いている。序盤で字数を使いすぎる |
| 課題文を読むだけで時間の3割が消える | 全文を同じ濃度で読んでいる。設問を先に読み、問われていることを探す読み方に変える(小論文の記事) |
処方の核心。構成に、時間の3割を先払いする
時間配分の目安は、読む2:構成3:書く4:見直し1です(60分なら、読解12分・構成18分・執筆24分・見直し6分)。多くの受験生は、構成に3割も使うことを怖がります。書いていない時間=進んでいない時間に感じるからです。実際は逆で、構成メモが完成していれば、執筆は箇条書きを文章に翻訳するだけの作業になり、手が止まりません。書けないときの記事で書いた二段階方式の、試験時間版です。
構成メモに書くのは、①結論(立場)、②各段落の役割と要点、③使う具体例、④各段落のおおよその字数。この④が尻切れ防止の鍵です。800字なら、序論150・本論500・結論150、のように先に配分しておく。書きながら残り字数と相談する運転から、配分表どおりに走る運転へ。これだけで、時間切れの大半は消えます。
指導現場の視点
時間内に書き終わらない生徒の練習を見ていると、共通の癖があります。最初の一文を、何度も書き直すのです。書き出しの完成度に、試験時間の1割を捧げてしまう。処方は単純で、書き出しの型を事前に決めておくこと。課題文型なら、筆者は◯◯と主張する。この主張に対し、私は△△と考える。この型で機械的に走り出すと決めておけば、悩む時間はゼロになります。美しい書き出しで得られる加点より、書き切った結論で得られる得点の方が、確実に大きい。試験の小論文は、文学ではなく時間内の実務です。
速度そのものを上げる、地味な練習
- 時間を計って書く練習を、本番の形式で 時間無制限の練習をいくら積んでも、時間感覚は育ちません。過去問と同じ制限時間・同じ字数で、週1本(出願後の記事の演習計画)
- 構成メモだけの練習を挟む 1本フルで書く時間がない日は、過去問を読んで構成メモだけ15分で作る練習を。時間切れの主因である構成力は、この短時間練習で効率的に鍛えられます
- 手書きの体力をつける 普段スマホとキーボードの世代にとって、800〜1000字の手書きは物理的な運動です。練習は必ず手書きで。漢字が思い出せず止まる時間も、手書き練習でしか減りません
本番の応急処置。それでも足りなくなったら
1
残り10分で本論の途中なら:本論を1つ捨てる
予定していた論点が2つあるなら、1つを捨てて、残した1つを丁寧に閉じ、結論へ進みます。論点の数より、最後まで筋が通っていることの方が評価されます。2
何があっても、結論は書き切る
尻切れの答案と、簡潔でも結論まで到達した答案では、後者が明確に上です。結論は、構成メモの①をもとに、2〜3文で最小構成でも成立します。残り5分を切ったら、途中の展開を要約に切り替えてでも、結論に着地してください。3
見直しは、自分の癖リストだけ
時間が残らなかった場合の見直しは、原稿用紙の記事で書いた、自分の表記の癖3つだけに絞ります。全文推敲の時間はもともと計画に入れないこと。指導現場の視点
時間切れに悩む生徒が、練習で一度は体験すべきことがあります。わざと構成に半分の時間を使ってみる練習です。60分の試験なら30分を読解と構成に充て、残り30分で書く。ほとんどの生徒が、こんなに構成に使って大丈夫かと不安がり、そして書き始めた瞬間に驚きます。手が止まらない。消さない。字数がぴったり着地する。一度この感覚を体験すると、構成への先行投資が怖くなくなります。時間配分の改革は、理屈より、一回の体験です。
まとめ
時間切れの正体は、構成の先払い不足です。読む2:構成3:書く4:見直し1に配分を変え、段落ごとの字数を先に割り当て、本番では何があっても結論を書き切る。書き方の基本は小論文の記事、テーマの仕込みはテーマの記事、総合型選抜の全体像は基礎の記事で確認してください。