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建築・都市系の総合型選抜対策|観る目と、理系の足腰の両方を鍛える

建築系の志望動機は、美しい建物への憧れから始まることが多いものです。ただ、建築学は芸術であると同時に工学です。構造力学、材料、環境、法規。憧れの裏側にある理系の現実を知った上での志望かどうかが、この分野の選考では静かに確かめられます。この記事では、デザインと工学の両面から、建築・都市系の総合型選抜の準備を解説します。

この記事の要点
  • 建築は芸術と工学の複合領域。デザインへの憧れと、数学・物理の足腰の両方が要る
  • 作品やスケッチが求められる場合、上手さより、observed(観察した)形跡と考えの跡が見られる
  • 最良の教材は身の回りの街。なぜこの建物・この街路はこうなっているのか、を観る習慣を作る

憧れと現実。建築学の二つの顔

建築家の作品集に心を動かされて志望する。健全な入口です。ただ、大学の建築学科で待っているのは、設計製図と並んで、構造力学、建築材料、環境工学、建築法規といった工学の科目群です。多くの建築系学科は理系に置かれ、数学・物理が学びの土台になります。

この二面性を知った上での志望か。それを確かめるために、面接では、好きな建築とその理由に加えて、構造や環境の話題、まちづくりへの関心など、デザインの外側の質問が飛ぶことがあります。憧れだけの受験生と、建築が総合的な学問だと知っている受験生の差は、ここで表れます。対策はシンプルで、建築の入門書(デザイン論だけでなく、構造や都市の入門も)を数冊読み、憧れの対象を広げておくことです。

作品・ポートフォリオが求められる場合

大学によっては、スケッチ・作品・ポートフォリオの提出や、その場での造形課題が課されます。ここでの考え方は芸術・デザイン系の記事と共通です。完成度より、観察と思考の跡。加えて建築系ならではの評価軸を挙げると、

  • 観察の解像度 実在の建物や街を観て描いたスケッチは、想像で描いた絵より評価されやすい。光の入り方、人の動き、素材の質感。何を観たかが線に出ます
  • 人の視点 建築は使う人のためのもの。デザインの奇抜さより、誰がどう使う場面を考えたか、が伝わる作品・説明が強い
  • 言葉との往復 なぜこの形にしたのかを語れること。制作ノートの習慣がそのまま使えます
提出物の形式・点数は大学ごとに大きく異なり、作品提出のない選考(書類・小論文・面接中心)の大学もあります。憧れの表現方法は一つではないので、要項で選考内容を確認し、自分の強みが活きる方式を選んでください。

最良の教材は、身の回りの街

建築・都市系の探究フィールドは、家を出た瞬間に始まっています。お金も設備も要りません。要るのは、観る目のスイッチだけです。

1
なぜ?で街を歩く
なぜこの駅前は人が滞留するのか。なぜこの商店街は歩きやすい(にくい)のか。なぜこの家は夏も涼しいのか。日常の空間への問いが、都市計画・環境工学・設計の入口です。
2
記録する。スケッチと写真とメモ
気になった空間を、写真1枚とメモ数行、できればスケッチで記録します。数か月分の街の観察ノートは、この分野の書類・面接で、あなたにしか出せない一次資料になります(実績の記事の記録の原則です)。
3
一歩深く。実際の建築・課題に触れる
建築公開イベントや見学可能な名建築を訪ねる、地域の再開発や空き家の課題を調べる、住んでいる街の都市計画図を見てみる。現地とデータの両方に触れた探究(探究の記事参照)は、志望理由の核になります。
指導現場の視点
建築志望の生徒の書類で、印象がはっきり分かれるポイントがあります。有名建築の名前が並ぶ書類と、自分の生活圏の空間の話がある書類です。前者は知識の証明にはなりますが、誰でも書けます。後者、たとえば毎日使う通学路の橋の構造が気になって調べた、祖父母の家の土間の涼しさの仕組みを考えた、という話は、その人の観る目の証明になります。遠くの名作より、足元の空間。この分野の読み手である建築の先生たちは、日常を観察できる目にこそ、設計者の素質を見ます。

数学・物理の足腰と、小論文の傾向

繰り返しになりますが、建築系の多くは理系の学科です。情報・理工系の記事と同じく、数学・物理の学力確認(評定、基礎テスト、口頭試問、共通テスト)を組み込む大学は珍しくありません。書類・作品の準備と教科学習は、最初から両輪で計画してください。

小論文・記述課題の頻出は、都市と地方(空き家、コンパクトシティ)、災害と建築(耐震、復興、防災まちづくり)、環境と建築(省エネ、木材利用)、高齢化と住まい、公共空間のあり方など。建築を、造形の問題としてだけでなく、社会の課題解決の手段として論じられるかが分かれ目です(テーマの記事参照)。

指導現場の視点
建築・都市系の志望理由の詰めとして、確認したい問いを一つ。あなたが作りたい(考えたい)のは、建物ですか、それとも建物が生む暮らしですか。かっこいい建物への憧れは、掘っていくと、その空間で過ごす人の時間への関心に行き着くことが多い。そこまで降りた志望理由は、デザイン・構造・都市計画のどの領域にも接続できる、強い根っこになります。憧れの対象を、モノから、モノが生む時間へ。この一段で、書類の深さが変わります。

まとめ

建築・都市系の総合型選抜は、憧れの両側(芸術と工学)を知り、足元の街を観察し、数学・物理の足腰を並行して鍛える分野です。書類の設計は志望理由書の記事、選抜の全体像は基礎の記事で確認してください。

代表講師 川崎
灯志舎 代表講師
川崎

総合型選抜の個別指導に携わりながら、将来のありたい姿から逆算する「ライフ・ナビゲーション」を軸に指導しています。

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